比較 911カレラとケイマン

ケイマン黒 ポルシェ

最近になってポジションニングが変わってきた、911カレラとケイマンを比較していきます。

ケイマン中心の記事になっている点、ご了承ください。

結論
  • ケイマンは911カレラの弟分として登場し、そのポジションが明確化されていました。

  • MRというスポーツカーとして最適なパッケージであったにも関わらず、911カレラの廉価版という見方もでき、中途半端感が否めないモデルではありました。

  • 911カレラが992型に変更される際に、ケイマンも718型に変更され、エンジンを中心に両者の違いはこれまでより大きく異なることとなりました。

  • これにより、911カレラはラグジュアリー路線、ケイマンはピュアスポーツ路線へと方向性が大きく変わっており、ポルシェの中のでポジショニングが大きく変わりました。

  • 911カレラの弟分としての役割を終えつつある、ケイマンがこれからどれだけ面白いクルマになるかが楽しみです。

ケイマンとは

2005年の2代目ボクスター(987型)登場時に、ボクスターの派生モデルとして、車体前半部をボクスターと共用された形で登場しました。

1996年の初代ボクスター(986型)登場時に、ケイマンが設定されなかったのは、ポルシェが得意とするマーケティング戦略に基づいたものと推定されます。

ケイマンシルバー

ボクスター登場時にケイマンが登場しなかった理由

当時のポルシェの屋台骨は911カレラです。空冷エンジン&駆動方式RRという当時においても非効率的な特徴をもつ911カレラをどう発展させるかが経営課題でした。

1998年に911カレラを水冷エンジン化するという大きなチャレンジが決まっていた中、それが安定する前に、水冷エンジン&駆動方式MRというケイマンを世に出すわけにはいかなかったという事情があったと思われます。

ケイマンホワイト

ポルシェの中でのケイマンの位置付け

今も昔もポルシェの代表選手は911カレラです。経営視点ではカイエン・マカンが大黒柱となっていますが、ブランドとしての大黒柱は911カレラであり続けることは間違いありません。

つまり、RRよりも効率的なパッケージであるMRを搭載するケイマンは、911カレラの弟分であり続ける必要がありました。

エンジンスペック、足回りなどなど、ケイマンは全力で最高峰をめざすことができず、911カレラを抜かさない弟分として常に最良な開発が行われました。

ケイマンレッド

ポルシェの中での位置付けの変化

2012年に登場した2代目ケイマン(981型)の登場により、ポルシェの中での位置付けが変化しました。

それは同時に登場した911カレラ(991型)の大幅パフォーマンス向上にあります。マセラッティなどの新たな競合の進化により、911カレラがよりラグジュアリー思考をめざす必要が出ており、ボディサイズ・性能を含めてピュアスポーツカーからGTカーへと大きく進化が求められました。その影響でケイマンにも変化が訪れました。

もちろん911カレラの弟分という位置付けに変わりはないのですが、マーケティングが得意なポルシェはこのあたりで明確に911カレラとケイマンの位置付けの変更を予定していたと想定されます。

顕著な例としてニュルブルクリンクテスト結果があります。このタイミングで、911カレラ(ベースグレード)をケイマンSが抜くという驚きの事実が生まれました。

スポーツ走行に有利なMRパッケージングを搭載するケイマンは、当然911カレラを抜くことは可能でしたが、これまでは弟分としてのポジショニングが徹底されており、追い抜く事が許されませんでした。今回初めて弟分が兄を抜き去るということがおきたことは今後に大きな影響をもたらしました。

991
981

新たなポジションニング

2016年ケイマンに大きな変化がもたらされました。

3代目へのフルモデルチェンジと言って良いと思いますが、982型ではなく718型として生まれ変わりました。

大きな変更はエンジンの変更です。これまでは911カレラの弟分として、同じ水平対向6気筒エンジンをお兄さんを超えない範囲でのスペックにて搭載してきましたが、3代目718型になり、水平対向4気筒ターボに大きく変更されました。

これと当時に911カレラのエンジンも変更となり、水平対向6気筒エンジンを搭載することはこれまでと変わりはありませんが、ダウンサイジングと全車ターボ化が行われ、スタンダードモデルにおいても、3000ccターボが搭載されることになりました。

これにより、911カレラはラグジュアリー思考のGTカー路線。ボクスターはピュアスポーツとしてのポジショニングが明確になりました。

992型
718型

まとめ

911カレラとケイマンは、兄弟関係として相互に進化をしてきました。

そのためケイマンは911カレラの廉価版と位置付けられることも多く、非常に微妙なポジションで地味な存在でありました。

しかし、911カレラの992型への進化、ケイマン自身の718型への進化により、ラグジュアリーカーとピュアスポーツカーとしての役割分担が明確にされました。

今後はこれまで以上にこの役割が明確化されて進化していくことになると思います。

ポルシェのマーケティングの素晴らしさを改めて体験することになりました。数年後の全車EV化に向けて、どのようにポルシェの中のポジショニングを検討しているかが気になります。

タイカン

911カレラとケイマンのスペック比較

997型と987型

数値で見てみると、サイズ・重量ともにカレラの方が1まわり大きいことがわかります。

それに加えて金額差が大きいこともわかります。

987後期
ケイマン
987後期
ケイマンS
997後期
カレラ
991後期
カレラS
全長×全幅×全高(mm)4347×1801×13044347×1801×13064435×1809×13104435×1809×1300
ホイールベース(mm)24152350
トレッド(mm)前149014861486
トレッド(mm)後1534152815301516
車両重量(kg)1330135014151425
エンジン形式水平対向6気筒
総排気量(cc)2893343636143800
最高出力(ps/rpm)265/7200320/7200345/6500385/6500
最大トルク(Nm/rpm)300/4400-6000370/4740390/4400420/4400
駆動方式MRRR
サスペンション(前)ストラット
サスペンション(後)ストラットマルチリンク
タイヤサイズ(前)205/55ZR17255/40ZR18235/40ZR18235/35ZR19
タイヤサイズ(後)235/50ZR17255/35ZR18265/40ZR18295/30ZR19
価格(万円)70887712371451
全てPDKモデル

991型と981型

991は大幅に大きくなったように見えますが、フロントの車幅が広くなったことが大きく影響しているためか、カタログ数値では大きく変わりません。

981
ケイマン
981
ケイマンS
991
カレラ
991
カレラS
全長×全幅×全高(mm)4380×1800×12954500×1810×1305
ホイールベース(mm)24752450
トレッド(mm)前152515301540
トレッド(mm)後153515201515
車両重量(kg)1390140014301450
エンジン形式水平対向6気筒
総排気量(cc)2706343634363799
最高出力(ps/rpm)275/7400325/7400350/7400400/7400
最大トルク(Nm/rpm)290/4500-6500370/4500-5800390/560044.9/5600
燃料タンク(l)64
駆動方式MRRR
サスペンション(前)ストラット
サスペンション(後)ストラトマルチリンク
タイヤサイズ(前)235/45ZR18235/40ZR19235/40ZR19245/35ZR20
タイヤサイズ(後)265/45ZR18265/40ZR19285/35ZR19295/30ZR20
価格(万円)65982011921456
全てPDKモデル

992型と718型(982型)

確認中

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