ポルシェ界隈の都市伝説には様々なものがありますが、よく聞く言葉としてこの言葉があります。
「最新のポルシェは最高なポルシェなのか」
この言葉について今回検証していきます。
この言葉の背景
「最新のポルシェは最高なポルシェなのか」よく聞く言葉ですが、これを言い換えると「最新の水冷エンジンのポルシェは空冷エンジンのポルシェよりも良いのか」であると私は思っています。
この言葉は最終の空冷モデル993型から初めての水冷モデル996型に切り替えられたあたりで良く聞いた言葉ではないかと思います。
水冷モデル内で検証
まずは水冷モデル内で検証します。
検証をする前ではありますが、水冷モデルにあたっては「最新のポルシェは最高なポルシェなのか」という言葉に対してきっと「はい、その通りです」となるだろうなと思います。
996型前期→996型後期
996型が前期型から後期型にマイナーチェンジをされた際には以下の大きな変更がありました。
この点からこのタイミングにおいては「最新のポルシェは最高なポルシェなのか」という言葉は正しい、という結論です。
・水冷エンジンが3400cc(300ps)から3600cc(320ps)へと変更となり、排気量と出力がアップ ・前期モデルの涙目型ヘッドライトは、先に登場していたボクスターと共有化が図られたため不評をかっていたため、マイナーチェンジにおいて、ターボモデルで採用されたデザインのものに全車変更
996型後期→997型前期
ポルシェ911カレラ初めての水冷モデル(996型)は、性能・メンテナンス面では評価されたものの、総合的な評価は低かったと言わざるを得ません。
それを打破すべく2005年に発売を開始したのが997型、人気のあった993型のルックスを現代風にアレンジし、新技術を続々と投入することで、新旧をうまく融合することに成功し、人気を再度獲得しました。
エンジンは基本的に996型から変更されていませんが、以下の新たな技術が多く搭載されたのも997型の特徴です。()内は一般的に呼ばれている機能名称。
▪️PASM ・ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメント (アダプティブサスペンション) ▪️PSM ・ポルシェ・スタビリティ・コントロール (横滑り防止装置。スタビリティコントロール) ▪️PTM ・ポルシェ・トラクション・マネージメント (アクティブ4WD) ▪️PTV ・ポルシェ・トルク・ベクトリング (可変トルク配分機構) ▪️PCCB ・ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ (カーボンブレーキ)
このように997型前期型は996型後期型と比較し、大きな変更がありました。
このタイミングにおいても「最新のポルシェは最高なポルシェなのか」という言葉は正しい、という結論です。
997型前期→997型後期
997型前期は2009年にマイナーチェンジを実施し、外観上の大きな違いはありませんが、エンジンやトランシスミッションは大きく変更されました。
・基幹エンジンである3.6Lと3.8Lエンジンは、新設計のガソリン直噴エンジンにより、軽量化と高出力化を実現。また、消費エネルギーの低減も同時に実現 ・ディプトロニックSに変わってポルシェ・ドッペル・クップリング(7速PDK)を採用。シフトチェンジスピードは1.6倍に高速化 ・前後バンパーの変更やLED採用のテールランプ・ウィンカーランプにより、よりスタイリッシュに変更
997型後期型も大きく進化を果たしました。このタイミングにおいても「最新のポルシェは最高なポルシェなのか」という言葉は正しい、という結論です。
997型後期→991型前期
997型後期から991型前期へのフルモデルチェンジは、これまで1番大きいモデルチェンジと言われた993型から996型に匹敵する、もしくは、それを超える規模の変更がありました。
以下の大きな変更が行われています。
・エンジンのダウンサイジングを実施、カレラは3.4Lで350ps、カレラSは3.8Lで400psとなり、燃費は最大16%改善 ・電子制御機能の活用の拡大。後輪操舵機能の導入(ターボ・GT3) ・アルミを多用したボディ採用による軽量化(60kg) ・フロントトレッドの拡大によりこれまでの911カレラと異なりフロントの車幅とリアの車幅が同等 ・内装は、Aピラーが寝かされたことにより、これまでの911らしさはなくなり高級乗用車的な感覚
これだけの大幅な進化がありましたので、このタイミングにおいても「最新のポルシェは最高なポルシェなのか」という言葉は正しい、という結論です。
991型前期→991型後期
2015年9月にマイナーチェンジが実施され、以下変更がありました。
・従来の自然吸気エンジンに代わり、ライトサイジングターボエンジンを搭載 ・排気量の縮小により、燃費効率はマイナー前と比較して12%改善 ・911カレラと911カレラSは同一排気量であり、過給機を含めた周辺機器が異なる ・オプション設定だったPASMが全車に標準装備 ・前後のバンパーが変更され、フロントウインカーやリヤライトが変更 ・「アクティブリアアクスルステア」(4輪操舵)が911カレラSにもオプションで装着可能
991型後期型もエンジンのダウンサイジングが行われるなど大幅な改良、進化が行われました。
このタイミングにおいても「最新のポルシェは最高なポルシェなのか」という言葉は正しい、という結論です。
空冷モデルと水冷モデルで検証
ここまで水冷モデル内で検証した結果、私の仮説である以下の言葉は間違っていなかったようです。
「最新のポルシェは最高なポルシェなのか」よく聞く言葉ですが、これを言い換えると「最新の水冷エンジンのポルシェは空冷エンジンのポルシェよりも良いのか」である。
水冷モデルにおける進化は常に「最新のポルシェは最高なポルシェ」でありました。きっとこれからも全車EV車になるまではその傾向が続くと思います。
「最新のポルシェは最高なポルシェなのか」を「最新の水冷エンジンのポルシェは空冷エンジンのポルシェよりも良いのか」に変換すると、その評価は「空冷マニアの一部な人を除く、一般的な人には正しい」が結論です。
しかし、最後の空冷モデルが終了してから約30年が経とうとしています。
空冷モデルは独特なエンジン音・RRのトラクションを中心にもう味わうことのできない希少なモデルだとは思いますが、すでにクラシックなクルマとして唯一無二の存在となっており、今となっては「最新の水冷エンジンのポルシェは空冷エンジンのポルシェよりも良いのか」を比較することに違和感があります。
まとめ
そういった意味で今回の「最新のポルシェは最高なポルシェなのか」は正しいという結論にしたいと思います。
この言葉、911カレラが全てEV車になった際に、エンジン車とEV車のどちらが良いのか?という議論が勃発し、色々なところから聞こえてくるのでしょう。
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