最後の空冷ポルシェ「993」の「前期モデル・後期モデル」のグレード比較をしてみます。
一見あまり差分がない「前期・後期モデル」ですが「後期モデル」から採用された「ヴァリオラム(可変吸気システム)」によって大きく差分がでているか、などをお届けします。
前期・後期モデルの差分を各カテゴリから検証していきます。
スペック
「前期・後期モデル」での違いは「エンジンスペック」「車両重量」「最高速度」になりますが、どれも大きな差ではありません。
細かいところでいうと「後期モデル」に用意された「カレラS」はワイド&ローボディであるため全幅・全高・トレッドが異なります。また、「Tips」と「MT」ではスタビライザー径が異なります。
前期:911カレラ | 後期:911カレラ | |
全長×全幅×全高(mm) | 4245×1735×1300 | ← カレラS:4245×1795×1285 |
ホイールベース(mm) | 2272 | ← |
トレッド(前後)(mm) | 1405/1444 | ← カレラS:1405/1536 |
車両重量(kg) | 1370(Tips 1390) | 1370(Tips 1395) |
エンジン形式 | 空冷水平対向6気筒SOHC | ← |
排気量(CC) | 3600 | ← |
最高出力(ps/rpm) | 272/6100 | 285/6100 |
最大トルク(kgm/rpm) | 34.7/5250 | 33.7/5000 |
圧縮比 | 11.3:1 | ← |
タイヤサイズ(F:R) | 205/50ZR17:255/40ZR17 | ← |
ホイールサイズ(F:R) | 7J×17:9J×17 | ← |
スタビライザー径(mm) (F:R) | 21:18 Tips:22:20 | ← |
最高速度(km/h) | 270(Tips 265) | 275(Tips 270) |
エクステリア
「エンジンスペック」と同じく「エクステリア」も「前期・後期モデル」で大きく変わることはありません。ポルシェマニア以外の一般の方が気付くことが難しいレベルの細かい差分になります。
リアスポイラー?
リアスポイラー?と呼んでいいのでしょうか?リアウィンドウ上部に「後期モデル」はパーツが装着されました。ハイマウントストップランプが内蔵されています。
マフラーの形状
こちらも大きな差ではありませんが、前期モデルが「楕円形」であるのに対し、後期モデルは「四角」となっています。個人的には「楕円形」の方が「993」のスタイルにあっていると思います。
ヘッドライト
後期モデルから「リトロニックヘッドライト」がオプション設定されました。あくまでもオプションですので、装着されているクルマは少ないと思われます。この点でも「前期・後期モデル」の差はあまりありません。
インテリア
「スペック」「エクステリア」と同じく「インテリア」も「前期・後期モデル」にて大きな差分はありません。
キーシリンダー上部のライト
後期モデルからキーシリンダー上部にライトがつきました。
私が保有していた個体は「前期モデル」でしたが、夜キーシリンダーが見つからず、キーの先を持ってエンジン始動していたことを思い出します。相当数のオーナーからの声があったと想定されます。
ドアポケット?
運転席・助手席の両ドアのポケットの大きさが、確か「前期・後期」で異なります。
必死で探してこのようなことが出てくるレベルであり、基本は「前期・後期モデル」で「インテリア」でも変わりがありません。
エンジン
「前期・後期モデル」の最大の違いは「ヴァリオラム」の有無です。
「ヴァリオラム」導入により最高出力・トルクが向上しています。この「ヴァリオラム」は「95年式RSモデル」に装備された機能です。
「ヴァリオラム」とは、回転数や負荷に応じて吸気系統のバイパスバルブを電子制御で開閉し、長・中・短と経路を変え、それによって低・中トルクに余裕を持たせながら、高回転での鋭い吹け上がりも両立させるシステムです。
「ヴァリオラム」による差分は実感できるのか
「前期・後期」の最大の違いであり、唯一の違いとも言える「ヴァリオラム」ですが、一般人にわかるレベルで異なるのでしょうか。
「ヴァリオラム」の採用により最高出力は「285ps」に、最大トルクは「35kgm」へと向上しています。「4000rpm」近辺での最大トルクが「前期モデル」の「28kgm」から「34kgm」へと向上しているため、差分があることに期待が高まります。
しかしながらこの差分も「エクステリア」等と同じく、一生懸命探して見つけることができるレベルであり、今となっては個体差の方が大きいため、「ヴァリオラム」の有無での差分はほぼ無いといって良いと思います。
性能以外での差分(ブランドにおける差分)
「ヴァリオラム」の有無による大きな差分はありませんでした。
しかし「ヴァリオラム有=最後の空冷モデル」という「ブランドにおける差分」は間違いなくあると思います。
「エクステリア」の所で「マフラー形状」が「前期・後期モデル」で異なり、私個人は「前期の楕円形が好き」と記載しましたが、ブランド的には「後期モデルの四角型」の方が高いと思います。
そういった意味では「ヴァリオラム有無」で差分があるというのが私の結論です。
まとめ
最後の空冷モデルである「993」。それだけでも価値があり「ヴァリオラム」が搭載された「後期モデル」は最上級の評価を受けています。
一方で「ヴァリオラム」も素人では体感ができなそうですし、「エクステリア」「インテリア」も含めて「前期・後期モデル」の差分はほぼ無いと言って良いと思います。それよりも個体の良さで購入を判断して間違いないと思われます。
「最後の空冷モデル」という、ある意味ブランドを保有することで満足を得るためには、「後期モデル」で登場した「カレラS」「カレラ4S」を保有することをオススメします。
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