比較 996GT3前期・後期

996GT3リア ポルシェ

ポルシェ911のスペシャルモデルGT3。今回は996型の前期・後期の違いを見ていきたいと思います。

まとめ
  • GT3はスポーツカーメーカーのポルシェの中でもよりスポーツ性の高いグレード。
  • 996GT3前期型は、空冷RSシリーズの後継という位置付けで限定車としてデビュー。

  • その荒々しさと大きな性能進化により、ポルシェの予想を大きく上回る人気グレードへ。

  • 996GT3後期型は大人気の前期型をポルシェ流に高いレベルで進化させたモデル。

  • 997GT3前期型と大きな差分がないため、唯一丸目でないエクステリアでもあり、ユニークな存在として人気も高い。

  • 購入する場合は996GT3後期型がオススメ。

911GT3とは

歴代ポルシェ911には、サーキット走行にも対応する硬派なグレードが設定されてきました。996型にも漏れなく特別な911がラインナップされており、それが911GT3です。

996GT3前期型は2000年に100台、翌2001年に89台が日本へ正規輸入されました。1999年から2001年の3年間でポルシェの予想(1400台)を超える売れ行きとなり、世界での最終的な生産台数は1889台となりました。

限定車としてのGT3は996GT3前期型のみで、その人気の高さから996GT3後期型からはカタログモデルとなり、その後は限定車の役割をGT3RSが担当することとなりました。

GT3の進化は凄まじく、360馬力からスタートしたGT3は2020年モデルの991GT3後期型では500馬力のパワーを誇るまでに至りました。

それと同時にシャシー・足回り・ブレーキも性能が磨かれ、トラクションコントロールも大きく進化しました。

991GT3

それらと比較し996GT3は、964カレラRSを彷彿させる最初で最後のGT3となっており、無駄なものを全て削ぎ落としたモデルとなっています。車重はノーマルの996よりも重くなっていますが。

すべてがダイレクトにドライバーに伝わり、メカニカルノイズも存在し、ボディが動く瞬間から軽いと感じられる軽快な走りを持ち味としています。

侵入してくるエンジンとミッションのメカニカルノイズは激しく、突き上げのある硬い脚まわり、パワステにも関わらずキックバックを感じるダイレクトなステアリングなど、964カレラRSよりはそれぞれマイルドですが、その延長線上にあるクルマであることがわかります。

964RS

996GT3前期

1999年モデルの限定車として発表されたのが 996GT3前期型です。

996GT3前期型、996カレラと比べて車高が30mm下げられていた他、エアロパーツで武装された姿は不人気な996前期型の中でも抜群にスタイリッシュでした。

レカロ製の革張りフルバケットシート2脚の簡素なインテリアはスポーツ度が高く、クラブスポーツパッケージでは革張りフルバケットシートの表皮を難燃性が高いファブリックにし、 ボルトオンロールゲージでドライバーを保護、おまけにキルスイッチがシフトレバー前に設置され、まさにレーシングカーそのものといった雰囲気でした。

996GT3前期型はパワステ、エアコンなど最低限の快適性があるため、自宅からサーキットまで自走し、サーキット走行を楽しむ方にはうってつけのクルマとなりました。

また、当時水冷 911カレラを食わず嫌いだった人にとっても水冷 911が気になるとっかかりとなるものとなりました。

996GT3サイド

エクステリア

・サイドまで回り込むリップ状のエアダムを持つフロントバンパー

・リアウイングは2段構造となっており 上部は角度調整が可能。また下段にはエンジンルームへフレッシュエアを導くインテークが備わる

・サイドシルに装着されるエクステンションもノーマルではオプション設定となるアイテムを設置

・リアフードにはGT3エンブレムが控えめに装着

・赤色に塗装された4ピストンのモノブロックキャリパーが採用される前期型のブレーキシステム。もちろんABSも備わる

・ローター径/厚みはフロントが330/34mm、リアが330×28mmとなる。標準で備わるLSDのロッキングファクターは加速時40%、減速時60%となる

・ホイールはフロント18×8J、リア18×10Jのスピードライン製

・タイヤはフロントが225/40ZR18、リアが285/30ZR18サイズを装着

インテリア

・GT3のロゴが刻まれるレプカウンターは8800rpmフルスケール。レッドゾーンは7600rpmから

・運転席・助手席ともにエアバックが装着され、衝撃吸収構造のドアやサイドエアバックも標準装備

・クラブスポーツ仕様は本格的にロールゲージが標準装備。リアシートは用意されない

・標準装備に含まれる電動リクライニング機構を備えるスポーツシートを選択することも可能

・メーターパネルやシフトノブなど細かい意匠を除くと、ダッシュボードの眺めはノーマルカレラと変わらない

・フルオートエアコンやCDオーディオも無償オプションとして選択することが可能

エンジン

エンジンは空冷フラット6のクランクケースを使用し、それを水冷化したものを採用しています。

クランクシャフトに特殊な表面処理を施し、チタン製コンロッドを採用。それを組み上げることで高回転に耐えられるエンジンへと仕上げられました。

そのクランクケースは911GT1にも搭載されたM64系ユニットの流れを組み、潤滑方法もインテグレーテッドドライサンプではなく、別体式オイルタンクを持つドライサンプが採用されています。

この結果、最高出力は360psとなり、ポルシェのNAフラット6エンジン初のリッターあたり100psを達成することになりました。

また、最高速は302kmとなり、こちらもNA911初の300kmオーバーとなりました。後期型は306km。

トランスミッション

トランスミッションは993GT2のものをベースに、シフト機構をロッド式からケーブル式に変更、ギアの交換が容易にできる設計が採用されました。

中でもクラブスポーツパッケージには、シングルマスフライホイールが採用されており、アイドリングからラフそのもので、ボディを揺らすほどでした。ガラガラとミッションノイズがこだまする車内は戦闘モードに包まれていました。

足回り

GT3専用にセッティングされた足回りが与えられることで、その車高は30mm低く抑えられています。

このサスペンションは、スプリング、ダンパー、スタビライザーの強化に加え、フロント側では車高やキャンバー角、リア側はスタビライザーの4段階調整を可能としています。

電子制御

996GT3前期型にはトラクションコントロールという電子制御が一切ないため、964カレラRS同様に早く走らせるのはひとえにドライバーの腕によることになります。

964RSと比べて嬉しいのは最低限の快適装備を持つこと。996の個性が街中の低速域から味わえ、サーキットを走ればアクセル全開に乗りこなすこともできます。

996GT3リア

996GT3後期

2000年から2001年にかけて限定生産されたGT3は自然吸気エンジンを搭載する911の究極型として多くのファンから強く支持されました。

排ガス規制や生産性の問題から一度姿を消したGT3でしたが、2003年モデルからカタログモデルとしてラインナップに復帰することになりました。

標準仕様の他にサーキット志向の強いオーナー向けにクラブスポーツ仕様を設定。一方で電子制御スロットルコントロールの採用などヨーロッパやアメリカなどの排ガス基準をクリアするなど環境への配慮も十分なされているものもポルシェらしい進化となりました。

エクステリア

・フロントバンパーやリアウイングの形状変更、ボディ剛性のさらなる向上など後期型GT3に施された改良は少なくない

・風洞実験や911GT3カップで得たデータに基づき、フロントバンパーの形状が変更され、40mm幅のエクステンションを装着することで、アンダーフロアに流れ込む空気量を低減

・ヘッドライトの形状も後期型カレラと同形状に改められ、バイキセノンヘッドライトもオプション設定

・サイドシルエクステンションの形状も変更

・エンジンフードには前期型同様GT3エンブレムが備わる

・リアウィングの形状変更は デザイン上の理由だけでなく、フロントバンパー 形状の変更に伴う空力バランスも考慮されている。4度ずつ3段階に角度調整が可能

・ホイールは新デザインとなり、サイズもフロントが8.5J×18インチ、リアが11J×18インチへと拡大。一方、ホイール4本合わせた重量は1kg軽減

・タイヤはフロントが235/400ZR18、リアが295/30ZR18サイズを装着

インテリア

・コックピットデザインは2002年モデル以降のカレラと基本的に共通。パワーウィンドウや電動調整式ドアミラーはもちろん、グローブボックスやカップホルダーも備わる。オートエアコンも無償オプションとして用意

・レブカウンターは高回転化に合わせて9400rpmフルスケールへ

・サイドブレーキレバーにはGT3の文字が刻まれる

・軽量化のためリアシートは装着されていない(リアシートの重量は8kg)

・サイドエアバッグを内蔵するドアトリム、ドアマウントスピーカーは前期型同様廃止

・ドアシル部分にGT3のロゴをあしらったエントリーガードが備わる

・カレラ用に比べ20kgの軽量レザー張りのフルバケットシートを標準装備。クラブスポーツ仕様では難燃性ファブリック張りのフルバケットシートになる他、本格的なロールゲージも備わる

エンジン

基本的構造は前期型と共通ですが、バリオカムが2段階制御から無段階制御となり、合わせてバルブタイミングの変化量も25度から45度へと増加しています。

さらにはバルブやピストンなどはグラム単位の軽量化を施すという念の入った調律が施された結果、さらなる高回転化と出力向上を達成しています。

最高出力は381ps。許容回転数も400rpm引き上げられています。 

トランスミッション

性能向上に合わせてギアボックスも改良されており、5速・6速のギア比が低く変更されたことに加え、オイルクーラーやギアに直接オイルを噴射する潤滑システムも追加されています。

足回り

パフォーマンス向上に伴ってブレーキシステムもフロントブレーキキャリパーの6ピストン化やローター径の拡大、PCCBのオプション設定といった改良が行われました。

996GT3リア

各種データ

996GT3前期型996GT3後期型997カレラS前期(MT) 
最高速度(km/h)302306239
0-100km/h(秒)4.84.54.8
0-160km/h(秒)10.29.410.7
0-200km/h(秒)15.814.316.5
0-1000m(秒)23.222.823.4
ニュル北コース(分)7.567.527.59

まとめ 前期・後期どちらがオススメか

996GT3を手に入れるのであれば、無理をしてでも後期モデルを選択することをオススメします。

例えばエンジン。前期モデルよりも高回転型を目指して改良された後期モデルのエンジンは、補器やマネジメントの仕様を変えて対応させるような容易な対応ではなく、極めて真っ当なエンジニアリング手法から取り組みが始まっていたりします。

エンジン以外でも同様にトランスミッション・空力パーツ・ブレーキシステム等々、あらゆる部分に技術の段階を着実に上げるようなポルシェ流進化の跡が見て取れます。

997GT3前期と性能が大きく変わらないという点も996GT3後期をオススメする理由です。新車登場時は丸目復活ということで997の方を推す声が大きかったですが、今となっては991・992も丸目であるため、996後期の独特なエクステリアの方がユニーク性があっても良いかもしれません。

996GT3前期もポルシェらしいと言えばその通りですが、ポルシェらしさを求めるのであれば964RSという選択肢も視野に入ってくることもあり、この面においても996GT3後期をオススメします。

996GT3
997GT3

スペック比較

996GT3前期型996GT3後期型
全長×全幅×全高(mm)4430×1765×12754440×1770×1280
ホイールベース(mm)23502360
トレッド前(mm)14751485
トレッド後(mm)14901495
車両重量(kg)13501380
最高出力(ps/rpm)360/7200381/7400
最大トルク(kgm/rpm)37.7/500039.3/6300
総排気量(cc)36003600
タイヤサイズ前225/40/ZR18235/40/ZR18
タイヤサイズ後285/30/ZR18295/30/ZR18
価格(万円)12901419

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