ポルシェ911(997型)のラインナップについてお届けします。
丸目ライトを採用した初めての水冷ポルシェで人気の「997型」について各グレードの特徴をお届けしていきます。
997型の概要
ポルシェ911カレラ初めての水冷モデル(996型)は、性能・メンテナンス面では評価されたものの、総合的な評価は低かったと言わざるを得ません。
それを打破すべくポルシェが2005年に発売を開始したのが997型、人気のあった993型のルックスを現代風にアレンジし、新技術を続々と投入することで、新旧をうまく融合することに成功、人気を再度獲得。
わかりやすい空冷テイストを盛込むことで、水冷911に拒絶反応を示していた空冷911ファン層も取り込み、911史上最大ともいえるヒット作となりました。
モデルの多様化
より多くの911を販売するため、ユーザーのニーズを細かく分析し各グレード間の隙間を異なる仕様で埋める戦略をとっていたため、前期・後期含めると997型は全43種類のグレードが存在します。
これにより911のヒエラルキーがわかりにくくなっており、911ターボは「ポルシェターボ」と呼ばれ羨望の的でしたが、997型ではターボの上にGT2。GT2RSなども存在しています。
ベーシックなカレラとGT2RSの価格差は約3倍。カレラが911の入門編という扱いになってしまっています。本当にそうなのでしょうか。
997型のボディサイズ
993型までの空冷モデルと比較するとボディは大型していますが、他のクルマと比較すると全幅・全長ともにまだまだ扱いやすいサイズとなっています。
先代の 996型と比較すると、全長は3mm短く全幅は40mmほど広く、ワイド感のあるボディをもちます。
項目 | サイズ |
全長 | 4425mm〜4470mm |
全幅 | 1810mm〜1850mm |
ホイールベース | 2350mm |
サイズ的には大差がありませんが、ねじれ剛性で8%・曲げ剛性で40%の向上を果たした上で、25kg軽量化するなど、確実に進化しています。
また、996型の熟成版という評価もありますが、実は996型から流用されたパーツは全体のわずか20%にしかありませんでした。
997型に搭載された新機能
エンジンは基本的に996型から変更されていませんが、新たな技術が多く搭載されたのも997型の特徴です。()内は一般的に呼ばれている機能名称。
▪️PDK ・ポルシェ・ドッペル・クップルング (デュアルクラッチ・トランスミッション) ▪️PASM ・ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメント (アダプティブサスペンション) ▪️PSM ・ポルシェ・スタビリティ・コントロール (横滑り防止装置。スタビリティコントロール) ▪️PTM ・ポルシェ・トラクション・マネージメント (アクティブ4WD) ▪️PTV ・ポルシェ・トルク・ベクトリング (可変トルク配分機構) ▪️PCCB ・ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ (カーボンブレーキ)
997型のグレード
997型からバリュエーションが増えました。通常モデル、Sモデル、4WDモデル、それぞれにカブリオレ等が設定され、多くのグレードが存在しています。
911カレラ
シリーズのベンチマークとなるスタンダードグレード ・6代目911として2004年8月にデビュー ・996型からデザインを一新 ・NA3.6Lエンジンは996型のモディファイ版 ・前期型で最大出力325psを発揮 ・直噴となった後期型では345psにパワーアップされると共に、7速PDKを採用 ・120km/hで自動展開し、80km/h以下で格納するリアスポーラーを装備
911カレラS
ホットモデルとなる「S」は3.8Lエンジンを搭載 ・997型カレラと同時発表されたスポーツグレード ・993型のカレラSは、カレラをベースにしたターボルックであったが、997型のカレラSは中身も異なり、新開発されたボアアップしたNA3.8Lエンジン(前期型355ps、後期385ps)を搭載 ・そのパワーとトルクを受け止めるため、PASM、19インチホイールとハイグリップタイヤ、ミシュラン・パイロットスポーツ2 N1を標準装備 ・カレラ、カレラSともに20mmローダウンのスポーツシャーシをオプション設定 ・丸型のツインテールパイプの2本出しが外見上の特徴
911カレラカブリオレ
ポルシェ伝統の2+2オープンモデル ・911カレラベースのオープンモデル ・NA3.6Lエンジンを搭載 ・911カレラでもオプションでPASM、スポーツシャシーを選択することが可能 ・世界で初めてヘッドエアバックを採用 ・ソフトトップはフレームの一部にマグネシウム製の部材を用い、強度を保ちつつも軽量化 ・ソフトトップの開閉に要する時間はおおよそ20秒 ・オープン化での追加装備類による重量増加はクーペ比+85kg
911カレラSカブリオレ
オープンエアクルージングを楽しめるホットモデル「S」 ・2005年2月に発売された2+2のオープンモデル ・SはNA3.8Lエンジン搭載車で前期型355ps、後期型385psを発揮 ・オープンモデルとしては相当に剛性感が高いが、当然クーペと比べるとその格が1つ落ちる ・ただ、オープンエアーが体験できるため、何を優先するかによって評価は異なる
911カレラ4
ワイドボディの4WDクーペ ・2005年8月に加わった4WD仕様 ・カレラ系の4WDは全てワイドボディ(ターボボディ)を採用 ・リアフェンダーを44mm拡大し、295/35R18タイヤを装着 ・これまでのモデルではカレラ4はノーマルボディ、カレラ4Sがワイドボティという区別がされていたが、997型カレラ系ではRRモデルがノーマル、4WDモデルがワイドボディという設定 ・エンジンは911カレラ同様325ps(後期型は345ps)を発揮するNA3.6Lを搭載 ・4WDシステムはマルチプレートビスカスカップリング ・RRである911の弱点は、フロント荷重が不足しておりフロントタイヤのグリップを稼ぎにくいこと ・その点カレラ4はフロントに駆動システムがある分だけ荷重が増えるという利点がある ・後期モデルでは、外観上の特徴として、左右のリアテールランプを繋ぐガーニッシュを、996カレラ4S以来に採用
911カレラ4S
グラマラスなリアビューが特徴的 ・NA3.8Lエンジン911+4WDのワイドボディ(ターボボティ)を採用 ・カレラ4Sのリアタイヤはさらにワイド化して305/30ZR19を装着 ・4WD車のポルシェスタビリティマネジメント(PSM)はブレーキのプレチャージ機能が不足した際に油圧で補う ・ハイパワーなエンジンを4WDで安定さることにより、スポーティーさと重厚感を合わせ持つ ・カレラシリーズの正常進化モデルであり、今後のカレラシリーズはこの流れに乗っていくと想定
911カレラ4カブリオレ
カレラ4のオープンモデル ・911カレラ4のオープン仕様で、ボディ以外の仕様はクーペと同様 ・当然ならがワイドボディを採用し、ブレーキチャージ機能も持つ ・前期型4WDシステムは、996型と同じくビスカス式センターデフを搭載したフルタイム4WDを採用
911カレラ4Sカブリオレ
ハイパワーの4WDオープンカー ・カレラ4Sのオープン仕様 ・カレラ4と同様PSMが標準装備されるなど、高いコーナリング性能や走行安定性を誇る ・4WDシステムは前期と後期で異なっており、前期型のビスカス式センターデフに対し、後期型は電子制御多板クラッチPTMを採用 ・リア機械式LSDも装備してトラクション性能を向上
911タルガ4
2007年モデルから加わったタルガトップは4WDで設定 ・2007年モデルには新たにタルガトップボディがラインナップ ・997型では新たに4WD車のみの設定 ・電動ガラスルーフのサイドエッジにはアルミ製トリムストリップが設けられる ・大面積のスライドルーフはサンシェード装着のガラス製 ・リアのガラスハッチも健在 ・サスペンションも快適性重視のセッティング ・日本仕様はATのみの設定となる
911タルガ4S
3.8L仕様のタルガ4S ・他のモデルと同様タルガ4にも3.8Lエンジン搭載の「S」が存在 ・タルガボディのリアウィンドウはガスダンパー付きハッチバック ・ガラスルーフはスライドしてリアウィンドウの内側に収納される構造 ・ルーフの開閉にかかる時間は7秒以内に短縮
911カレラGTS
専用チューニングで408psを発揮 ・2010年10月に発売されたカレラSの上位にあたるNAモデルの頂点 ・カレラSの3.8Lをベースに6枚の負圧制御チューニングフラップを組み込んだ専用可変レゾナンスインテークマニホールドを採用 ・408psを発揮しながら燃費はカレラS並に抑えられている ・カレラ4と同じワイドボディを採用 ・19インチRSスパイダーホイールを装備
911カレラGTSカブリオレ
NA最強のオープンカレラ ・カレラGTSのオープン仕様 ・ボディ以外はカレラGTSと同様 ・ワイドボディに305/30ZR19サイズのリアタイヤと19インチRSスパイダーホイールを装備 ・ブラックのスポーツデザインフロントエプロンや専用サイドスカートも装備 ・クーペでオプションとなるリアシートをカブリオレは標準装備
911カレラ4GTS4WD
4WDモデルにも加わった「GTS」 ・408psの3.8Lエンジンを搭載したカレラGTSは2011年6月から発売 ・テールランプ間にリフレクターストップランプを配置して4WDをアピール ・専用のバッジもドアやエンジンフードに装備
911カレラ4GTSカブリオレ
専用のブラックアルカンタラーシートを奢る ・カレラGTSのオープンモデル ・GTSシリーズは内装に合わせて、スポーツシートのセンターセクション、ステアリングホイールのリム、シフトレバー、パーキングブレーキもブラックアルカンターラでまとめれている
911ターボ
3秒台後半で100km/hに到達するパワー ・2006年3月に登場した911ターボ ・ワイドボディはターボの証 ・GT3と同じクランクケースを持つ ・前期型の最高出力は480ps ・後期型は3.8Lに拡大されて500psを発揮 ・スポーツクロノオプション装着車はオーバーブースト機能も搭載 ・外観の特別感もシリーズ随一。LEDインジケーターを組み込んだバンパー、位置を高くしたテールパイプが突き出すリヤエンド ・後期型になり、空冷の血を引くM64型クランクケースと決別。ベースとなったのはカレラS後期型の3.8L直噴エンジンを利用。 ・全車4WDで、搭載される3.6Lツインターボエンジンは世界初電子制御可変タービンジオメトリー(VTG)を備える ・多板タイプ電子制御クラッチ(PTM)を採用しており、フロントからも引っ張られるため、強烈な勢いで間に移動する感覚が強い印象 ・ポルシェターボのインプレッションは早いというよりは、ワープという表現が適している
911ターボカブリオレ
カブリオレ専用セッティングを施す ・2007年6月に発売された911ターボカブリオレ ・スペックはクーペと同様 ・PASMはカブリオレ専用セッティング ・4WDは電子制御マルチプレートクラッチで前後トルクを配分する ・最高速度は310km/h
911ターボS
後期型に追加されたターボS ・2010年3月に発売された911ターボS ・3.8Lターボをベースに最高出力を530psにパワーアップ ・トランスミッションは後期型から採用された7速PDKのみの設定 ・PCCBや19インチRSスパイダーホイールを標準装備
911ターボSカブリオレ
最強のカブリオレ登場 ・3.8Lツインターボエンジンを搭載 ・911ターボSと同様530psを発揮 ・パドルシフト、アダプティブスポーツシート、クルーズコントロールも標準装備 ・インテリアは専用ツートンカラーレザー
911GT2
911史上最強のスペックを誇る ・2007年8月に発売された911GT2 ・911ターボを2WD化 ・3.8Lツインターボエンジンは530psに増強 ・最高速度は320km/h ・PCCBを標準装備 ・チタン製エキゾーストシステムやカーボン製エアフィルターボックス採用 ・911ターボより140kg軽量化
911GT2 RS
世界500台限定生産の997最強モデル ・911GT2を全方位でスペックアップ ・カーボンボンネット、リップスポイラー、ポリカーボネート製サイド&リアウィンドウを採用 ・フライホイール、スプリングなどを軽量化 ・タイヤは前245/35ZR19、後325/30ZR19とワイド化 ・フロントにブリスターフェンダーが付く ・3.6Lツインターボは最大ブースト圧を高めた上インタークーラーの効率を15%アップ ・620psを発揮する
911GT3
MTだけを設定するピュアレーシング ・前期型のエンジンはGT1の3.6Lベース ・415psを発揮 ・チタンコンロッドなどの採用で軽量化 ・後期型は直噴エンジンやPDKを採用しない代わりに3.8Lとなり435psにパワーアップ
911GT3 RS
ワイドボディ化で迫力アップ ・GT3RSは2006年8月に発売 ・997GT3RSRのホモロゲ取得用ベース車両としてデビュー ・ベースボディをカレラ4Sとしてリアトレッドを45mm拡大 ・エンジンはGT3と共通だが、フライホイールが軽量化 ・オプションでPCCBも設定 ・ボディ剛性を高めるためにロールゲージを配置 ・996GT3RSよりも居住性に配慮 ・ターボボディの採用やカーボン製リアウィング、リアアクリルウィンドウなどにより車重が20kg軽量化
911GT3 RS 4.0
世界600台限定のスパルタンモデル ・世界600台限定、日本では17台をコックス経由で販売。 ・私がこれまで聞いてきたポルシェサウンドの中で最高の音色 ・GT3RS譲りの4Lユニットを搭載した史上最強のNAモデル ・専用の6速MTと強化クラッチを標準装備するなどスパルタンな仕様 ・インテリアはいかにもGT的な印象 ・フロントバンパーはカナードを装備 ・ボンネットフードとフロントフェダーはカーボン製、サイドとリアウィンドウはポリカーボネート製にすることで、911GT3RSよりも10kg軽量化
限定モデル
911ターボS Edition 918 Spider
918オーナーにのみ購入権利 ・918スパイダーをオーダーした人のみに購入する権利を与えられた限定車 ・918スパイダーにちなんだ918台の限定生産 ・クーペとカブリオレが設定され、シリアルナンバーや専用装備を奢る ・内外装の一部にカーボンファイバーを使用 ・918スパイダーに使われる外装色のほか、インテリアの刺繍などが奢られる
911ブラックエディション
専用装備をふんだんに使用 ・限定1991台 ・ソリッドブラックの車体に19インチツートンカラーホイール、パーシャルレザーシート、スポーツデザインステアリングホイールなどの特別装備を持つ ・中身はベースとなったカレラ後期型と基本的には変わらない
911スピードスター
クラシックポルシェを現代に昇華 ・世界限定365台生産のモデル ・ポルシェ365スピードスターを意識した独特のボディ形状を持つ ・国内へはわずか6台のみが正規輸入 ・ソフトトップ収納部はダブルバブルデザインのハードカバー ・19インチのスポーツクラシックリムは、フックスホイールのビジュアルをベースとして採用 ・エンジンはスポーツクラシックと同じ3.8Lで最高出力408psを発生
911スーポーツクラシック
ダブルバブルルーフ装備 ・ポルシェのカスタマイズ部門、ポルシェ・エクスクルーシブが手掛けた限定モデル ・世界250台、日本12台の限定生産 ・エンジンは408psにパワーアップされ、リアフェンダーは44mm拡大 ・ダブルバブルルーフや専用スポイラーを装備して空力性能を向上させたほかPCCBも標準装備 ・フックスホイールデザインの19インチスポーツクラシックホイールを装備 ・メインヘッドライドはブラックで縁取り ・エンジンはカレラS後期型3.8Lをベースにインテークやマニホールドを改良。 ・新旧911のいいとこ取りの997¥
パフォーマンス(まとめ)
0-100km(秒) | 最高速度(km/h) | |
911カレラ4 | 4.8 | 282 |
911カレラ4S | 4.5 | 295 |
911カレラ4カブリオレ | 5.0 | 282 |
911カレラ4Sカブリオレ | 4.7 | 295 |
911カレラGTS | 4.4 | 304 |
911カレラGTSカブリオレ | 4.6 | 304 |
911カレラ4GTS | 4.4 | 300 |
911カレラ4GTSカブリオレ | 4.6 | 300 |
911タルガ4 | 5 | 282 |
911タルガ4S | 4.7 | 295 |
911ターボ | 3.6 | 312 |
911ターボS | 3.3 | 315 |
911ターボカブリオレ | 3.7 | 312 |
911ターボSカブリオレ | 3.4 | 315 |
マイナーチェンジ
997型は2009年にマイナーチェンジを実施。外観上の大きな違いはありませんが、エンジンやトランシスミッションは大きく変更された。
エンジン
基幹エンジンである3.6Lと3.8Lエンジンは、新設計のガソリン直噴エンジンにより、軽量化と高出力化を実現。また、消費エネルギーの低減も同時に実現。
トランスミッション
エンジン以外の大きな変化として、ディプトロニックSに変わってポルシェ・ドッペル・クップリング(7速PDK)を採用。シフトチェンジスピードは1.6倍に高速化。
エクステリア
前後バンパーの変更やLED採用のテールランプ・ウィンカーランプにより、よりスタイリッシュになった。
ヒストリー
年月 | 項目 |
2004/8 | 997モデル受注開始 911カレラ/911カレラSを同時リリース |
2005/2 | 911カレラカブリオレ 911カレラSカブリオレ受注開始 |
2005/8 | 911GT3 CUP(997)受注開始 |
2006/2 | 911ターボ、911GT3がジュネーブショーでワールドプレミア |
2006/3 | 911ターボ、911GT3受注開始 |
2006/5 | 911GT3 RSの欧州市場導入を決定 |
2006/7 | 911タルガ4/911タルガ4Sを販売開始 |
2007/5 | 911ターボカブリオレを発表 |
2007/7 | 911GT2を発表 史上最強の911、530ps |
2007/12 | 420psの新型911 GT3 CUPを発表 |
2008/6 | マイナーチェンジ実施 NAエンジンの直噴化やPDKの搭載など |
2008/6 | 911カレラ4シリーズを発表 |
2009/4 | GT3受注開始 |
2009/9 | 911スポーツクラシック、フランクフルトモーターショーでワールドプレミア |
2009/10 | FIA、GT選手権:911GT3 RSRがチャンピオンシップタイトルを獲得 |
2010/2 | 911ターボS受注開始 |
2010/2 | 911GT3 Rハイブリッドがジュネーブショーでワールドプレミア |
2011/3 | 911ブラックエディション受注開始 |
2011/5 | 911カレラ4 GTSクーペ/カブリオレを発表 |
購入時に確認するべきチェックポイント
中古車を購入する上でそのクルマの程度(コンディション)を把握することは非常に重要。
空冷モデルは機関系の詳細確認が必須でしたが、997型においては機関係の確認は通常のクルマと同程度でよく、購入時に注意しなければならいのはむしろ装備品(オプション)になってきます。
機関系
水冷エンジンと言っても、9L弱のオイルを飲み込み、 空冷時代から極端に量が減ったわけではないのですが、エンジンの構造が異なるため(分割式だったクランクケースが一体化された)、オイル漏れを起こしやすいポイントは少なくなりました。
エンジンの「真下」を眺めても、クランクケースの継ぎ目は見あたらず、大きなオイルパンが広がるばかり。この部分やエキゾーストマニフォールドおよびマフラーは、なにかの拍子に路面の突起物にヒットしたとしても不思議ではないくらいの位置にあり、各部に擦ったような痕跡や凹みがないかが確かめておきたいポイントです。
一方、エンジン・リッドを開いてチェックできるのは、クーラントや油脂類。これらの量が少なかったり(もしくは多すぎたり)、 目視でさえもひどく汚れていることがわかるようであれば、日頃の整備を疎かにしていたことが想像できます。
もうひとつエンジンルームで確認できるのはパワステフルード。また、これに加えてブレーキフルードの状態も見ておきたいところ。 ラゲッジルームは996型よりもさらにトリムが豪華になり、バッテリーはもちろんブレーキフルードもカバーの中へ収められるようになりました。
正規ディーラーがメンテナンスを担当しているクルマであれば、消耗品の交換や定期点検などについて行き届いたサービスを受けていることが多いですが、顧客の幅が広がった997型の場合は、乗りっぱなしのオーナーも少なく無いと思われます。
ポルシェジャパンでは「最低でも1年もしくは走行1万kmでのオイル交換を推奨」していますが、それすら行われていないクルマも多くあるようです。 そういった個体を避けるには、ディーラーで整備を受け、 履歴のはっきりしたクルマを選ぶことが重要になってきます。
装備品
中古車を購入しようと狙いを定めたとき、最も気がかりなのは程度(コンディション)です。 しかしもうひとつ、希望する仕様のクルマに出逢えるかという問題も避けては通れません。
「カレラ」か「カレラS」か? それとも「カレラ4/4S」か、といったグレードのチョイスに始まり、「6段M/T」「ティプトロニックS」「左右のハンドル位置」「 ボディカラー」などなど、悩みは尽きません。
新車をオーダーするならば、 そのすべてを自由にチョイスできるわけですが、 中古車はそうはいきません。 中でもベースグレードたる「カレラ」に的を絞った場合、新車時にどのようなオプションを装備したのかの確認が必要になります。
例えば「カレラS」なら 「PASM」「 バイキセノンヘッドランプ」「スポーツステアリング」が標準装備されますが、「カレラ」はこれらすべてがオプション設定となります。
また、タイヤ&ホイールは「カレラ」が「F:235/40ZR18+8J×18、R:265/40ZR18+10J×18」、なお「カレラS」は「F:235/35ZR19+8J×19、R:295/30ZR19+11J×19」が標準となっており、「カレラ」もオプションで19インチを履くことができます。
単純に考えれば「カレラS」により近い装備を与えられた「カレラ」があれば、それが高い人気を得ることになります。 オプションが中古車の販売価格を大きく左右することは基本的にないため、色々付いていればそれだけお買い得感が高くなります。
数あるオプション品の中でも外せない人気のアイテムといえば「バイキセノンヘッドランプ」と「シートヒーター」です。一方、走りに大きく関わる装備として人気があるのは「PASM」と「スポーツクロノパッケージ」。やはりこのオプションも中古車価格には大きく影響しないようなので、 装備しているクルマが狙い目となります。
まとめ
水冷モデルでの性能&信頼性アップと、これまでポルシェカレラがつないできた丸目スタイルを融合した997型は非常に人気が高いモデルとなっています
3.6Lのエンジンを搭載する素のカレラは低速トルクが細めなため、トルクの太い3.8L(Sモデル)がオススメ
また、997に乗るのであればこれまでのカレラらしいクラシックスタイルがより映えるワイドボディ(4WDモデル)がオススメ
そして、ティプトロニックはもはや時代遅れでもあるため、トランスミッションはPDK(後期モデル)がオススメ
つまり、購入のオススメは後期のカレラ4Sモデル以上となります
それ以上の限定モデルもオススメですが、991型が予算的に見えてくると思いますので、やはりオススメは後期のカレラ4Sです。それ以上の予算がある場合は991型の購入がオススメです。
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