PR

アウトランダーPHEVとエクストレイルを比較|PHEVとe-POWER、似た走りなのに仕組みは全然違った

三菱アウトランダーPHEV P Executive Packageのフロント外観 Cars

三菱アウトランダーPHEVに試乗して、走り出してすぐに思ったことがありました。

「これ、エクストレイルにかなり似ているな」

特に似ていると感じたのが、軽いステアリングと、アクセルを踏んだ瞬間にスッと前へ出る感覚です。

以前試乗した日産エクストレイル e-4ORCEを思い出しました。エクストレイル単体の試乗では、大きなSUVなのに驚くほど軽く感じたことを詳しく書いています。

ただ、まったく同じではありません。

アウトランダーPHEVの方が明らかに重さを感じる。一方のエクストレイルは、もっと軽快だった記憶があります。

「同じような走りなのに、なぜ違うんだろう?」

気になって調べてみたところ、この2台は想像以上に深いつながりがありました。そして同時に、PHEVとe-POWERという、まったく異なる電動化の考え方も見えてきました。アウトランダーPHEVそのものの加速、静粛性、乗り心地、装備については単独の試乗レビューにまとめています。

アウトランダーPHEVとエクストレイルは、実はかなり近い

現行アウトランダーPHEVは、アライアンスで開発した新世代プラットフォームを採用しています。主要諸元を比べると、ホイールベースは両車とも2,705mm。前サスペンションはストラット式、後ろはマルチリンク式で、どちらも前後モーターを使う4WDです。

主要サイズを比べると次の通りです。

アウトランダーPHEV:全長4,720mm/全幅1,860mm/全高1,750mm/ホイールベース2,705mm

エクストレイル e-4ORCE:全長4,660mm/全幅1,840mm/全高1,720mm/ホイールベース2,705mm

アウトランダーの方が全長60mm、全幅20mm、全高30mm大きいものの、ホイールベースは同じです。

乗った瞬間に「なんとなく似ている」と感じたのは、完全な偶然ではなさそうです。

モーターも同じ? 調べたら半分正しく、半分違った

そこで次に思ったのが、「もしかしてモーターまで同じなのでは?」という疑問でした。

主要諸元を比べると、ここがさらに面白い。

エクストレイル e-4ORCE

フロント:150kW/330Nm

リア:100kW/195Nm

アウトランダーPHEV

フロント:85kW/255Nm

リア:100kW/195Nm

リアモーターの最高出力と最大トルクは両車で同じです。一方、フロントは大きく異なり、エクストレイルの方が高出力です。

「PHEVで価格も高いアウトランダーの方がモーターも強いのでは」と思いがちですが、少なくともモーター単体の最高出力を見る限り、そう単純ではありません。

なお、前後モーターの最高出力を足して、そのまま車両のシステム出力と考えることはできません。バッテリーの供給能力、インバーター、制御条件などが異なるためです。

エクストレイルは260kg軽い

重量差はさらに分かりやすい数字でした。

今回試乗したアウトランダーPHEV P Executive Package(5人乗り)の車両重量は2,140kg。

比較するエクストレイル G e-4ORCE(2列・5人乗り)は1,880kg。

差は260kgです。

アウトランダーは2トンを超えます。一方、エクストレイルはフロントモーターがより高出力で、しかも260kg軽い。

もちろん、クルマの軽快感は車重だけでは決まりません。タイヤ、サスペンション、電動パワーステアリング、前後駆動力配分など、さまざまな要素が関係します。

それでも、私が両方に乗って感じた「基本的な走りは似ている。でもエクストレイルの方が軽快」という印象を考えるうえで、この260kg差はかなり興味深い数字でした。

価格差は約175万円。アウトランダーは何にお金と重量を使っている?

2026年のメーカー希望小売価格で見ると、アウトランダーPHEV P Executive Packageは6,700,100円から。エクストレイル G e-4ORCEは約495万円です。

単純比較で約175万円の差があります。

もちろん、この差をそのまま「バッテリー代」と考えることはできません。装備、内外装、商品設計なども違います。

ただ、アウトランダーが22.7kWhという大容量の駆動用バッテリーを搭載し、外部充電機能まで持つことは、重量と価格の大きな違いの一つです。

では、その大きなバッテリーによって何ができるのでしょうか。

ここからが、この2台を比べて最も面白かったところです。

エクストレイルは「自分で発電するモーター車」

エクストレイルのe-POWERでは、エンジンは発電に徹し、タイヤを駆動するのは100%モーターです。

ガソリン

↓

エンジンで発電

↓

電気

↓

前後モーター

↓

タイヤ

日産はエクストレイル専用e-POWERについて、「100%エンジンで発電し、100%モーターで駆動する」システムと説明しています。

そしてe-4ORCEは、e-POWERそのものの名称ではありません。前後2つの高出力モーターとブレーキを統合制御し、4輪の駆動力をコントロールする技術です。

つまり、

e-POWER=エンジンで発電し、モーターで走る仕組み

e-4ORCE=前後モーターとブレーキを統合して4輪を制御する仕組み

と分けて考えると分かりやすいです。

アウトランダーPHEVは3つの走り方を自動で使い分ける

アウトランダーPHEVは、もっと複雑です。

22.7kWhの大容量バッテリーを持ち、走行状況に応じて3つの走行モードを自動で切り替えます。

① EV走行モード

充電したバッテリー

↓

前後モーター

↓

タイヤ

エンジンを停止し、バッテリーの電気だけでモーターを動かします。P Executive PackageのEV走行換算距離はWLTCモードで102kmです。

② シリーズ走行モード

ガソリン

↓

エンジンで発電

↓

電気

↓

前後モーター

↓

タイヤ

バッテリー残量が減ったときや、強い加速が必要な場面ではエンジンで発電し、モーターで走ります。

この状態は、仕組みだけを見ればe-POWERにかなり近くなります。

③ パラレル走行モード

エンジン

↓

前輪を直接駆動

+

モーターがアシスト

高速走行など、エンジンを直接使った方が効率の良い領域では、エンジンの駆動力も使います。

つまりアウトランダーPHEVは、「EV」「シリーズハイブリッド」「エンジン直結+モーターアシスト」を状況によって使い分けるクルマです。

同じ「モーターで走るSUV」でも思想は違う

なお、同じくモーター主体の走りをするコンパクトSUVとして、ホンダ ヴェゼル e:HEV Zの試乗レビューもあります。e:HEVはエンジンによる直接駆動も使うため、e-POWERとは仕組みが異なります。

ここまで調べると、最初の疑問がかなり整理できました。

なぜアウトランダーPHEVとエクストレイルは、走り出した瞬間の感覚が似ていたのか。

両車には、近い基本骨格、同じ2,705mmのホイールベース、前後モーター、電動パワーステアリング、電子制御4WD、そしてモーターならではの素早いレスポンスという共通点があります。

だから似た感覚を持った可能性があります。

しかし、電気をどう用意するかは大きく違います。

エクストレイルは、充電しなくてもモーターだけでタイヤを駆動する。

アウトランダーPHEVは、大容量バッテリーを外部から充電し、できるだけ長くEVとして走る。

似た走りをめざしながら、そこへ向かう方法はまったく違うのです。

調べるほど「e-POWER+e-4ORCEって、実はすごい」と思った

今回アウトランダーPHEVに乗ったことで、逆にエクストレイルの仕組みの面白さに気づきました。

大容量のPHEVバッテリーを積まず、外部充電もしない。それでもアクセルを踏めば、モーターならではの素早いレスポンスを味わえる。

しかも今回比較した仕様では、エクストレイルはアウトランダーより260kg軽く、フロントモーターの最高出力も大きい。

私がエクストレイルで感じた軽快さにも、こうした違いが影響しているのかもしれません。

充電設備を必要とせず、EVに近いモータードライブを実現する。

改めて見ると、e-POWER+e-4ORCEはかなり合理的な仕組みだと思いました。

e-POWERで気になった「発電用エンジンの音」

ただし、私がエクストレイルに乗ったときに気になったこともあります。

それが、発電のためにエンジンが始動したときの音です。

モーターでスーッと走っている間はとても気持ちいい。一方、状況によって発電用エンジンが「ブーン」と回り始めます。

日産も静粛性を高めるため、低速走行時にはエンジンの始動頻度を抑えたり、ロードノイズが大きい場面でエンジンを始動させたりする制御を採用しています。

それでも完全なEVではありません。

私の場合は、モーターの滑らかな走行感とエンジン音の出方が一致しない瞬間に、少し違和感がありました。

これはe-POWERを試乗するときに、一度意識して確認してみてもいいポイントだと思います。

一方、アウトランダーはエンジンがかかっても意外によかった

今回のアウトランダーPHEVでは、あえてバッテリーチャージモードを選び、エンジンを動かしてみました。

すると、これは予想外に好印象でした。

発進時のモーターらしい滑らかさは残り、エンジン音も嫌な印象ではありません。むしろ「上質なクルマに乗っている」と感じられる音とフィーリングでした。

PHEVだからエンジンが始動した瞬間に魅力が落ちる、という感じではなかったのです。

PHEVとe-POWER、結局どちらがいい?

今回比較して分かったのは、単純な上下ではありません。

充電環境がなくても、モーターならではのレスポンスや電動4WDの走りを楽しみたい。

そんな人にとって、エクストレイルのe-POWER+e-4ORCEは非常に合理的です。

一方、自宅などで充電でき、普段の移動をできるだけエンジンを使わずEVとして走りたい。

そこに価値を感じるなら、アウトランダーPHEVの22.7kWhバッテリーと外部充電機能には明確な意味があります。

アウトランダーが重く、高価なのは、単純に「エクストレイルより高級だから」ではありません。

その価格と重量の一部を使って、EVとして走れる領域そのものを大きくしている。

ここが2台の根本的な違いだと思います。

似ていると思ったのは、気のせいではなかった

アウトランダーPHEVに乗って走り出した瞬間、「エクストレイルに似ている」と感じました。

調べてみると、基本骨格には共通性があり、ホイールベースも同じ。どちらも前後モーターを使い、リアモーターの最高出力・最大トルクも同じです。

一方で、フロントモーターはエクストレイルの方が高出力で、車体は260kg軽い。

だから、「似ている。でもエクストレイルの方が軽快だった」という自分の感覚にも、ある程度説明がつきました。

そして最も面白かったのは、その先です。

アウトランダーPHEVは、外部から電気を入れて「EVとして走る時間」を増やした。

エクストレイルは、車内で電気を作って「充電しなくても100%モーターでタイヤを駆動できる」ようにした。

似た走りを実現しながら、そこへ到達するための考え方はまったく違う。

アウトランダーPHEVに試乗したことで、アウトランダーだけでなく、e-POWER+e-4ORCEという日産の仕組みの面白さまで再発見できたのが、今回一番意外な収穫でした。EVとPHEVのどちらを選ぶかで迷った過程と、自分なりの結論は別の記事で整理しています。

。