EVの走りは、本当にいい。
テスラModel Yやポルシェ・マカンElectricに試乗して、改めてそう思った。アクセルを踏んだ瞬間の加速、静粛性、滑らかさ。できれば次の車はEVにしたい。
でも、どうしても購入を決めきれない。
長距離移動と充電への不安。バッテリー技術の進化。そして将来のリセール。
だったらPHEVか。でも、エンジンとバッテリーを両方積んだ車は、中途半端ではないか。
それならガソリン車やHEVでいいのでは?
いや、それではEVの走りを諦めることになる。
そんな堂々巡りの末に考えたのが、PHEVは仕組みとしてはベターでも、完成度の高い一台を見つけられれば、自分にとってのベストになるのではないかということだ。
EVの走りを知ってしまった。やっぱりEVはいい

EVの魅力は、燃料代や環境性能だけではない。何より、走りが気持ちいい。
アクセルに対する反応が速く、エンジンの振動もない。静かなのに力強く、速度が滑らかに上がっていく。
マカンElectricにも、テスラModel Yにも、それぞれ違う魅力があった。でも共通していたのは、モーターで走ること自体の気持ちよさだ。
特にModel Yは、試乗後に購入候補として強く意識するようになった。
だからこそ悩む。EVに乗りたいという気持ちは、単なる興味ではなくなっている。Model Y試乗レビューとマカン4 Electric試乗レビューでは、その走りを詳しく紹介している。
でもEVを買い切れない。問題は充電時間より「移動の自由」

私がEVを決めきれない最大の理由は、長距離移動だ。
例えば、軽井沢へ車で出かけたとする。帰ろうとしたとき、関越自動車道の渋滞が伸び始めたという情報が入ってきた。
ガソリン車なら、燃料に余裕があれば、そのまま出発できる。
でもEVで、帰路のバッテリー残量が気になる状況だったらどうだろう。充電してから帰った方が安心かもしれない。しかし、充電している間にも渋滞は伸びるかもしれない。
急速充電が以前より便利になっているのは分かる。けれど、充電には一定の時間が必要だし、充電器がすぐ使えるとも限らない。その間、「先に出発した方がよかったのでは」と気になってしまう。
これは実際に軽井沢で経験した出来事ではなく、EVを所有した場合に私が気にしている場面だ。もちろん、航続距離に余裕があれば問題にならない。充電計画を立てれば対応できる場合も多いだろう。
ただ、私が引っかかるのはそこではない。車の良さは、自分の空間で、好きなときに、好きな場所へ移動できる自由ではないか。
長距離ならレンタカーを借りればいい。電車で行けばいい。そんな意見も聞く。
でも、自分の車を買うのは、自分の好きな空間で家族と移動したいからだ。大切な遠出のときだけ別の車を借りるというのは、私にはどうもしっくりこない。
EVの欠点を解決するために、車を所有する目的まで変えたくはない。
もうひとつ怖いのが、バッテリー技術の進化
長距離移動に加えて、将来のリセールも気になる。
バッテリーは今後も進化していくだろう。航続距離、充電速度、重量、コスト。数年後には、今より魅力的なEVが登場する可能性がある。
そうなると、今買った車はどうなるのか。5年後、10年後に技術面で古くなり、中古車としての魅力が落ちるのではないか。
もちろん、EVのリセールが必ず悪くなると決まったわけではない。中古車価格は車種や需要にも左右される。それでも、技術の進化が速いからこそ、今買うことにためらいがある。マカンElectricの中古相場とリセールも、購入判断の参考になる。
だったらPHEV? いや、それも中途半端ではないか

そこでPHEVが候補になる。普段は電気で走り、長距離ではエンジンも使える。EVの魅力を楽しみながら、充電への不安を減らせる。理屈では、とてもいい。
でも、エンジンと燃料タンクに加えて、大きなバッテリーとモーターまで積む。重く、複雑で、価格も高くなりやすい。本当にそれでいいのか。
この疑問を強く感じたのが、メルセデス・ベンツGLC350eだった。
実際に試乗して、乗り心地の上質さや内装の質感には魅力を感じた。しかし、私には車体の重さがどうしても気になった。車が重厚なのと、重さを感じさせるのは違う。
GLC350eでは、PHEV化による重量が走りの満足感を下げているように感じた。少なくとも私が求めている、軽快で気持ちのいい走りとは違った。
EVの良さを求めてPHEVを選んだのに、重量感が気になって運転が楽しくない。それでは意味がない。GLC350eは、私にとってPHEVの弱点を最も強く感じた一台だった。
もちろん、これは今回の試乗での評価だ。すべての人にとって悪い車という意味ではない。ただ、PHEVは決して万能ではないと実感した。
詳しくはGLC350eの試乗レビューにまとめている。
それならガソリン車やHEVに戻ればいいのか
PHEVがそこまで中途半端なら、ガソリン車やHEVでいいのではないか。
充電を気にせず遠出できる。エンジンと大容量バッテリーの両方を積む必要もない。車としての完成度が高ければ、それで十分かもしれない。
実際、そう考えることもある。でも、そこでまた最初の気持ちに戻る。EVの走りは、本当に良かった。
ガソリン車やHEVにも優れた車はたくさんある。でも、EVのあの静かさと、アクセルを踏んだ瞬間の加速は、簡単には諦められない。
合理性だけで選べば答えは出るかもしれない。でも、それでは自分が本当に乗りたい車を選んだことにならない気がする。
PHEVはベター。でも、いいPHEVならベストになるのでは?

ここで、考え方が少し変わった。EVは、モーターで走る魅力を突き詰められる。ガソリン車は、長距離移動の自由や、エンジン車ならではの走りを楽しめる。
一方、PHEVはその中間だ。ハードウェアだけを見れば、どうしても妥協がある。でも、車を所有する満足感は、ハードウェアの合理性だけで決まるわけではない。
日常ではEVの走りを楽しみたい。家族との遠出では、充電の都合に縛られたくない。そして、車重やエンジンとの切り替わりを意識せず、気持ちよく運転したい。
この条件を満たすPHEVがあれば、それは妥協ではなく、最も満足できる車になるのではないか。
そう考えるきっかけになったのが、レクサスNX450h+だ。
家族で試乗したNX450h+は、静かで滑らかだった。モーターの加速は力強く、車体の重さもあまり意識しなかった。特に驚いたのは、エンジン始動の自然さだ。
試乗中にチャージモードを使ってエンジンを動かしてみても、家族からは「これ、エンジン動いてるの?」という反応が出た。
エンジンを積んでいることが、普段のEVらしい走りを邪魔していない。これは、PHEVとして非常に大切なことだと思う。
もっとも、NX450h+にも迷いは残った。かなりいい車だと思ったのに、試乗後に「どうしても欲しい」とまでは感じなかったのだ。
NX450h+の試乗レビューでは、その理由も詳しく書いている。つまり、完成度の高いPHEVと、自分が本当に欲しいPHEVは、まだ同じとは限らない。
CX-60 PHEVも試乗して分かった、最後は車そのものの完成度

もう一台、考える材料になったのがマツダCX-60 PHEVだ。
以前試乗したCX-60の3.3Lディーゼルとは印象が違い、PHEVでは乗り心地が改善され、高速道路でのしっとりした走りも好印象だった。
ただ、NX450h+と比べると、私が求める静かさや操作の自然さではNXの方が好みに合っていた。同じPHEVでも、走りの性格はかなり違う。
CX-60 PHEVとNX450h+を乗り比べた記事でも、その違いを整理している。
この3台に乗って、はっきりしたことがある。PHEVだからいいわけではない。
電気だけで長く走れることも大切だが、それ以上に、車重を感じさせないこと、エンジンとの切り替わりが自然なこと、そして運転して気持ちいいこと。
PHEVの弱点をどれだけ感じさせず、EVの魅力をどれだけ残せているか。私が探したいのは、そんな車だ。
結論|EVを諦めるのではなく、ベストなPHEVを探す
EVの走りは素晴らしい。でも、長距離移動の自由や、バッテリー技術の進化を考えると、今はまだ購入を決めきれない。
PHEVは中途半端に思える。ガソリン車やHEVに戻る方が合理的かもしれない。それでも、EVの走りを諦めたくない。
だったら、答えはひとつではないか。
PHEVという仕組みはベターでも、車として完成度の高いPHEVを見つけることが、自分にとってのベストになる。
NX450h+には、その可能性を強く感じた。一方で、GLC350eではPHEVの弱点を感じ、CX-60 PHEVではまた違う走りを体験した。
まだ、これだと思える一台に出会ったわけではない。でも、車選びの方向は見えてきた。
EVを諦めるためにPHEVを選ぶのではない。EVの魅力も、車で自由に移動する楽しさも、両方諦めないためにPHEVを探す。
今は、それが一番納得できる答えだ。具体的な二台で迷うなら、NX450h+とModel Yの比較試乗も参考にしてほしい。
