テスラ Model Yに試乗して、危うく買いそうになりました。
今回乗ったのはModel Y Premium ロングレンジAWD。これまでレクサスNX450h+やポルシェ マカン4 Electricなど、さまざまな電動SUVに乗ってきましたが、Model Yはまったく違う印象を残しました。
加速性能や装備だけに惹かれたわけではありません。そもそも自動車を作る発想が、これまで乗ってきたクルマとは違う。そんな新鮮さがありました。
結論|「良いクルマ」を超えて、欲しくなった
Model Yは、私にとって非常に魅力的な一台でした。だからといって、従来の高級車と同じ基準ですべてが優れているわけではありません。シートは特別に良いとは感じませんでしたし、静粛性や車体の重厚感はマカン4 Electricの方が上です。
それでも、どちらが欲しいかと聞かれればModel Y。クルマというより、未来の「動く空間」に乗っているような感覚があったからです。レクサスNXの良さは理性で理解できる一方、Model Yには理屈より先に心が動きました。
乗り込んだ瞬間から、操作の発想が違う

運転席で最初に目を引いたのは、大きなセンターモニターと物理スイッチの少なさです。一般的なメーターパネルやシフトレバーはなく、前進・後退も画面で選びます。ミラー調整もモニターとステアリングの操作を組み合わせる方式でした。
慣れた操作とは違うので最初は戸惑います。それでも、従来のクルマの操作系をそのままEVに移し替えるのではなく、最初から別の仕組みとして考えていることが伝わってきました。
ガラスルーフ、光、音が一つの空間をつくる

大きなガラスルーフは開放感があり、アンビエントライトもきれいです。オーディオの音質も印象的でした。ライト単体の華やかさならメルセデス・ベンツの方が好みですが、Model Yはガラスルーフ、照明、音響、広い室内が一体になっています。
思わず「これ、クルマなのか?」と感じたほどです。装備を一つずつ採点するより、そこで過ごす時間を想像したくなる室内でした。
加速は力強く、それでいて軽快
アクセルを踏むと「ヒューン」という感覚で一気に加速します。ポルシェ マカン4 Electricが「グワーン」と重厚に力強く加速するのに対して、Model Yは車体の重さをあまり意識させず、軽々と前へ出る感覚です。
加速が強烈で「少し飛ばしすぎたかな」と感じても、実際には体感したほど速度が出ていない。実速度以上に加速の勢いを強く感じるところが印象的でした。
ワンペダルドライブも自然だった
アクセルを戻すとしっかり減速するため、通常の走行ではブレーキペダルをほとんど踏まずに運転できました。最初は独特でも、操作自体は比較的自然に受け入れられました。反対に、ブレーキペダルそのものの感触は今回十分に評価できていません。
カメラと画面が、周囲の見え方を変える
もう一つ驚いたのが、カメラと周辺認識の表示です。画面には周囲のクルマや人、駐車スペースなどが映し出され、ウインカーを出すと側後方のカメラ映像も表示されます。
安全性は今回の購入検討で重視しているポイントの一つです。もちろん、カメラが多いから事故を防げると断定はできません。それでも、周囲の情報を分かりやすくドライバーに伝える仕組みには、大きな魅力を感じました。
後席も広く、移動中の時間を楽しめそう

後席はかなり広く感じました。リアモニターでは動画視聴やエアコン操作ができ、風向きも画面上で直感的に調整できます。座り心地は普通ですが、ガラスルーフや音響も含め、室内で過ごす時間をよく考えた設計だと思います。ラゲッジスペースも、私の用途には十分でした。
マカン4 Electricの方が良いクルマ。それでも欲しいのはModel Y
直前に試乗したポルシェ マカン4 Electricは、素晴らしいクルマでした。静粛性、乗り心地、車体のしっかり感は明確にマカンの方が優れています。スムーズで、まるで空飛ぶ絨毯のような走りでした。
ただ、マカンで感じたのは「素晴らしいクルマが電気になった」ということ。Model Yでは、画面を中心とした操作、カメラ、ワンペダル、軽快な加速、光と音までが一つの体験につながっています。
クルマとしての完成度ではマカンが上。それでも、価格を無視しても乗りたい、欲しいと思ったのはModel Yでした。この逆転こそ、今回の試乗で一番面白かったところです。
気になった点|シートと高級車としての質感

フロントシートは見た目こそスポーティーですが、肩や腰のホールド感は期待ほど強くなく、座り心地は普通でした。
静粛性は十分で、走っていて質感が低いとも感じません。ただ、マカンの際立ったスムーズさやしっかり感、NXで感じた塊感と比べれば違いはあります。Model Yが軽薄だったり、ペラペラだったりするわけではありません。比較対象が非常に上質なのです。実際に両方を試乗して感じた静粛性・乗り心地・加速と「欲しさ」の違いは、NX450h+とModel Yの比較試乗記事で詳しく整理しています。
車体の大きさも運転中には強く意識しませんでしたが、購入時には寸法や取り回しの確認が必要です。
総評|危うく買いそうになった理由

Model Yは、私のクルマ選びの基準を少し変えました。静粛性、乗り心地、シート、ボディのしっかり感は今も大切です。それでも、クルマには別の魅力があると気づかされました。
以前マカン4 Electricに乗ったときには、EVは自分の購入候補にならないと思いました。ところがModel Yに乗ると、EVもいいかもしれないと感じます。正確には、EVだから欲しくなったのではありません。Teslaが考える新しい移動空間を、自分の日常に取り入れてみたくなったのです。
本格的な購入判断には、長距離での使い勝手や充電環境など、まだ確認したいことがあります。それでも久しぶりに、強く「欲しい」と思った一台でした。
